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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
崔 敏
(名古屋大学 工学研究科 物質プロセス工学専攻)
会議名 7th World Conference on Photovoltaic Energy Conversion (WCPEC-7)
期日 2018年6月10日〜15日
開催地 Hawaii, USA
1.国際会議の概要
≪図1 開催地の風景≫

WCPECとは、毎年開催される世界三大太陽電池学会、すなわちアジアを中心とするPVSEC、ヨーロッパのEU PVSEC及びアメリカのIEEE PVSCが4年に一度共同開催する世界最大級の太陽電池学会であり、いわば太陽電池界の「オリンピック」とも言えるものです。1994年第1回WCPECがハワイで開催されてから早24年、第7回目を迎えたWCPEC-7は、再びハワイで開催されました。今回の会議には、世界60ヶ国から実に600以上の大学や研究機関が参加しており、その総発表数は1,250以上にものぼります。まさに世界最大規模の太陽電池学会ですが、太陽電池の各分野において最前線で活躍している研究者をはじめ、世界各国から集まった学生の姿も数多くみられ、活発な議論が行われました。また、開催地がリゾート地ということもあって、学会の合間に南国の海を楽しむ人の姿もたびたび見られました。

2.研究テーマと討論内容

私は「Passivated Contacts, Carrier Selective Contacts, Heterojunctions」というセッションにおいて「Development of the Passivation Layer for p-type CuI Thin Film Fabricated by the 2-step Method as the Novel Hole Selective Contact of Silicon Heterojunction Solar Cells」という題目で結晶シリコン(c-Si)系太陽電池の正孔選択輸送層として有望なヨウ化銅(CuI)についてポスター発表を行い、他の研究者や学生と活発な議論を交わしました。

≪図2 発表中議論の様子≫

CuIの2段階作製法は、金属Cuをc-Si基板に直接真空蒸着してからこれをヨウ素ガス雰囲気中でヨウ化させてCuIを得るものですが、その製膜特性上、通常の真性水素化アモルファスシリコン(i-a-Si:H)を用いたパッシベーション方法では、i-a-Si:H層とc-Si基板へのCu原子の拡散が原因で、十分な性能が得られません。そこで、真性水素化アモルファス酸化シリコン(i-a-SiOx:H)層をCuIとi-a-SiOx:H層との間に挟んで、i-a-Si:H層とi-a-SiOx:H層のスタッキング膜をパッシベーション層として導入することで、高いパッシベーション性能が得られることを報告しました。これは、i-a-SiOx:H層中の酸素原子がCu原子と結合してCu原子の拡散を抑制しているからであると思われます。更に、i-a-SiOx:H層中の酸素含有量を多くすると、より高いパッシベーション性能が得られることから、前述の考察が証明されたことになります。

ポスター発表ということもあって、私の発表内容に関心を持ってくれた研究者や学生たちと、かなり踏み込んだ議論を交わすことができました。特に、CuIはペロブスカイト型と呼ばれる太陽電池の正孔選択輸送層としても機能するため、c-Si系太陽電池以外の分野の方とも議論することができました。異なる分野の研究者との情報共有と意見交換はまさしく学会の醍醐味の一つであると思います。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)

海外で開催される国際会議に参加するのは今回が初めてですが、自らの研究で得られた知見を世界各国の研究者に英語でアピールすることはとても貴重な経験になりましたし、自分の英語力が海外でも通用するということを知って、非常に大きな自信に繋がりました。これまでは、研究室内での発表は基本的に日本語で行っていて、英語を使うことに対してどこか躊躇いがありましたが、今回の国際会議での発表を経て、英語への抵抗感を完全に無くすことができ、研究室での進捗報告等も英語で行うようになりました。

また、会議を通じて様々な研究者の発表を聞くことができましたが、近年の太陽電池研究の趨勢を肌で感じることができました。中でもc-Si系太陽電池の最大のライバルと言われているペロブスカイト型太陽電池が、ここ数年で大きな発展を遂げており、太陽電池の新たな可能性を示しているように思えます。ペロブスカイト型太陽電池の発展は間違いなくc-Si系太陽電池の研究を加速させることになるでしょう。こうした交流と競争の中で、太陽電池全体の研究が加速度的に発展していくことを願ってやみません。いいえ、むしろ私がその発展で貢献したいと強く思うところです。

最後になりますが、今回の国際会議で様々な収穫を得ることができたのは、ひとえに丸文財団の皆様の多大なるご支援があってのものであります。この場をお借りして、貴財団に厚く御礼申し上げるとともに、頂いたご支援に対して、何等か形で恩返しできるよう、より一層研究に邁進することを誓わせていただきます。

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