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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
山崎 泰良
(大阪大学 大学院基礎工学研究科 物質創成専攻)
会議名 The 8th Conference On Nitroxides (SPIN-2017)
期日 2017年9月10日〜14日
開催地 The Orto Botanico, パドヴァ, イタリア
1.国際会議の概要

今回参加したSpin-2017は、生物学から材料科学まで全ての科学の分野における、ニトロキシドラジカルに関する研究報告を行う会議である。1979年にハンガリーで始まり、今年で8回目を迎える本会議は、イタリアのパドヴァにあるthe Orto Botanicoで9月10日から9月14日まで開催された。会議には、主にヨーロッパ諸国を中心とした研究者が参加している。また、本会議はイタリアで最も大きいコンソーシアムの一つであるNational Interuniversity Consortium of Materials Science and Technology (INSTM) が主催しており、ヨーロッパの研究者を中心に多くのネットワークを形成することができ、様々な分野におけるニトロキシドラジカルに関する研究者の積極的なディスカッションが繰り広げられている。また、参加者の総数は110名と数はそれほど大人数というわけではないが、日本人は私を含め8名と少なく、多くの海外の研究者たちと深いディスカッションをするには最適な場である。

2.研究テーマと討論内容

筆者は常磁性を示す液晶性化合物を用いて、新規磁性材料の創成を目指し、有機合成と物性測定に取り組んでいる。液晶とは、液体の流動性・外場応答性と結晶の異方性・配向の規則性の両方の特性を併せ持つ状態及び液晶状態を示す物質そのものを指す。液晶の中でも、筆者が扱っているニトロキシドラジカル(NR)液晶は分子構造内にNR を有する液晶性純有機化合物である。NR 液晶は純有機物であるにも関わらず、常磁性を示し、結晶相から液晶相への転移時に磁化率が急増する現象(磁気液晶効果)を示すなど、液晶由来の外場応答性、流動性に加え、NR 由来の磁性を併せ持つ特殊な物質である。そのため、これまで実現が困難だった新機能を有する新規磁性材料として、応用が期待されている。しかし、新規磁性材料への応用において、磁場に強く応答する NR 液晶が必要とされる。そのため、磁気液晶効果をより強く発現する NR 液晶を開発する必要がある。NR 液晶の磁気液晶効果を増強させるアプローチの一つに、一分子中のラジカルの数を増やす手法が報告されており、これまでで最も大きな磁気液晶効果が観測された。筆者は、一分子中に二つのラジカルを有するNR 液晶(ビラジカル液晶)の分子形状の改良を行い、磁気液晶効果の増大を目指している。本国際会議ではジアステレオマーの関係にある二種類の新規ビラジカル化合物の物性とキラリティの相関に関する研究についてポスター発表を行った。

今回の発表では、既に報告されているビラジカル液晶とは形状の異なる棒状のビラジカル化合物を有機合成し、その相転移挙動と、磁化率の温度依存性の測定を行い、その結果、一分子内に有する4つのキラリティを全てそろえることによって、棒状ビラジカル化合物が液晶相を示し、転移の際にその磁化率が減少することを明らかにした。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回参加したSPIN-2017は、筆者にとって初めての海外での国際会議であり、海外での初めての英語のポスター発表ということもあり、発表日まで大きな不安を抱えていた。しかし、当日発表した際には、緊張しながらも今回の発表で伝えたい研究のコアとなる部分を伝えることができた。

一方で、英語でのポスター発表となると日本語のポスター発表と全く勝手が違い、英語の台本を作り、様々な質問を想定して発表に臨んだが、発表時は想像以上に緊張し、たどたどしい発表になった上、筆者の英語力が不十分であるために質問に上手く答えることができず、とても悔しい思いをした。この経験から、英語ができないことによって、コミュニケーションが取れず、様々な新しい意見や知識を獲得する機会を逃してしまうことを強く認識した。今後は日々の研究に加え、英語力の向上を課題の1つとしてますます精進し、自分から積極的に国際学会参加も含めた国際交流を行っていきたい。

最後に、このような大変貴重な機会を提供していただきました一般財団法人丸文財団に心より感謝を申し上げると共に、貴財団の益々のご発展をお祈りし、本成果報告とさせていただく。

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