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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
添田 圭佑
(島根大学 大学院総合理工学研究科 総合理工学専攻)
会議名 13th European Conference of Applied Superconductivity (EUCAS 2017)
期日 2017年9月17日〜21日
開催地 スイス、ジュネーブ
1.国際会議の概要

13th European Conference of Applied Superconductivity (EUCAS 2017)は、超伝導の応用研究を対象とした学会で、二年に一度ヨーロッパで開催される。本年は主催者であるCERNが所在するスイスのジュネーブにて9月17日〜21日の間開催された。超伝導ケーブルやマグネット応用などがメインの発表であったが、超伝導材料の作製プロセスに関する発表など基礎研究の分野からも多数発表があり、非常に規模の大きな学会となった。次回は2019年にイギリスのグラスゴーにて開催予定である。

≪開催地ジュネーブの風景≫
2.研究テーマと討論内容

我々はREBa2Cu4O8 (RE124)を用いた省エネルギー技術の実用化に向けて、複雑なプロセスを介さない低温作製手法であるKOHフラックス法を開発してきた。この手法を用いることによって、従来よりも300 ℃以上低い温度でNdGaO3基板上へのRE124膜の作製に成功してきた。しかし、NdGaO3基板上に成膜したRE124膜表面には基板と膜との間の熱膨張係数差によって生じたクラックが確認され、作製したRE124膜のJc特性が評価できていないという課題がある。そこでRE124膜との間の熱膨張係数差が小さいLaAlO3基板上への成膜が試みられたが、KOH溶液との反応性が悪くRE124膜が形成されなかった。クラックの無い膜をLaAlO3基板上へ作製するために、本研究ではKOH溶液とLaAlO3基板の反応性を良くすることを目的として、あらかじめLaAlO3基板上にKOH溶液との反応性を良くするための中間層を成膜した構造を提案した。実験手順は、はじめにLaAlO3基板上へスパッタリング法で中間層を成膜し、その中間層上にKOHフラックス法を用いてRE124膜を成膜する手順である。実際にこの構造によって、中間層上に700 ℃以下の低温でクラックの無い高品質なRE124膜を作製することに世界で初めて成功した。上記内容をポスター形式にて発表し、他研究者と低温作製プロセスについて議論した。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)
≪口頭発表の会場≫

本学会では初日にWelcome Receptionがあり、初対面の研究者と自己紹介を兼ねた交流があった。そこでは学生も含め様々な研究者と交流でき、超伝導の知識だけでなく科学者としての姿勢も学ぶことができた。また、今回は安価でかつ高速度の超伝導膜作製手法の講演が多く、我々のグループの研究へ活かすことができるような内容もあり、非常に有意義な学会であった。ほかにも、国内では聴くことのできない超伝導線材作製技術や、マグネット応用などの応用技術にも触れることができた。研究者による発表とは別に、各国の超伝導を用いた製品を開発している企業もブースを設けており、産業で実際に使用されている製品を見学する機会もあり、国内外問わず産学の最先端技術を目の当たりにした。実際に国外で発表したことで、自身が今後すべき実験の課題点、語学能力などを磨く必要があると感じた学会であった。こうした機会をいただけたのも貴財団のご支援・ご助力によるものであり、この場をお借りして感謝申し上げます。

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