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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
老川 ひろみ
(慶應義塾大学 大学院理工学研究科)
会議名 The 21th European Conference on Thermophysical Properties (ECTP2017)
期日 2017年9月3日〜8日
開催地 Graz, Austria
1.国際会議の概要

今回参加した European Conference on Thermophysical Properties (ECTP2017)は、熱物性に関する世界3大会議のうちの1つであり、1986年ドイツで第1回会議が開催されました。近年では3年に1度ヨーロッパの各都市で開催されています。21回目となる本会議は、オーストリアの第2の都市グラーツにあるグラーツ工科大学が会場となりました。

本会議では、4日間にわたり、主に気体・固体・液体の熱伝導率、拡散係数、導電率、粘性率等の熱物性値の測定、および理論・モデル化に関する発表とディスカッションがなされました。オーラル発表は5つの会場に分かれ、ポスターは大学構内の3フロアを利用して掲示されます。初めの2日間にポスターセッションの時間が設けられ、聴衆との活発なディスカッションがなされました。

本会議では、オーラル、ポスター発表ともに、液体や固体などの測定対象、および測定手法ごとに16のセッションに分かれて行われます。具体的には、高温下での熱物性値や輸送現象などのセッションが用意されました。本会議では、216件のオーラル発表と132件のポスター発表がなされ、334名の発表者があったと報告されています。

≪グラーツの街並み≫ ≪会場となったグラーツ工科大学≫
2.研究テーマと討論内容

私の研究テーマは、非侵襲的に血糖値を測定する新しいレーザー計測技術の開発です。“Instrumentation and Measuring Techniques”というセッションでポスター発表を行いました。全世界の糖尿病患者数が4億人を超え、いまも増加傾向にある現代、正確かつ簡易な血糖値(血液中のグルコース濃度)の測定が求められています。しかし、穿刺と採血を必要とする従来の測定手法では、患者のストレスや廃棄物等が問題視されています。そこで本研究では、採血を伴わず非侵襲的に生体内の血糖値を測定する計測技術の開発を目標にしています。

≪ポスター発表の様子≫

私たちは、非接触な濃度測定を実現するために、グルコースの旋光性に着目しました。旋光性を持つ物質に光が入射すると、濃度に応じて光の偏光面がある角度します。この回転角度を利用して、グルコース濃度を求めることが可能です。本会議では、特に微小な角度回転を検知する測定手法として、光学素子を回転させる高速モーターを利用した測定原理の紹介を行いました。聴衆からは、提案手法の改善点やキャリブレーション方法について多くの質問やご指摘をいただき、今後の研究方針の参考となる、有意義な議論を交わすことができました。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)
≪バンケットの様子≫

本会議では、33ヶ国から参加者が集まり、幅広い国の方々とコミュニケーションをとる事ができました。お昼に提供されたランチビュッフェでは、食事を囲みながら、海外の博士課程の学生とそれぞれの国の食事や気候、文化などについて盛り上がりました。会議後半にはバンケットが催され、参加者全員が一堂に会して食事や演奏を楽しみました。4日間を通して、コミュニケーションの手段として英語を使う機会を多く持つことができ、非常に良い刺激となりました。

また、開催地となったグラーツは、市街中心部が世界遺産に登録されており、会場に向かうまでの間、非常に美しい街並みを見ることができました。次回のECTPは、2020年9月中旬にイタリアの都市ベニスで開催予定です。

最後になりましたが、今回、海外での研究発表という非常に貴重な機会を持つにあたり、多大なるご支援をいただきました貴財団に、心より御礼を申し上げます。

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