国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成29年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
町田 茉南
(慶應義塾大学 大学院理工学研究科)
会議名
SPIE Photonics West 2018
期日
2018年1月27日~2月1日
開催地
The Moscone Center, San Francisco, California, USA

1. 国際会議の概要

国際光工学会 (SPIE) 主催のSPIE Photonics Westは世界最大規模の光分野の国際学会と呼ばれており、バイオメディカルオプティクス (BiOS)、レーザー (LASE)、光エレクトロニクス (OPTO) の3つの分野に関する会議が同時に開催される。本会議は年に1度サンフランシスコ近郊で開催され、今回もUnion Squareから徒歩圏内に位置する3つの会場で行われた。

今年は2018年1月27日から2月1日までの6日間で合計5,000件以上の招待・基調講演、一般口頭・ポスター発表が行われたほか、多数の企業が各々の最新製品を出展する展示会も開かれ、初日から最終日まで大いに活気に溢れる会議であった。

2. 研究テーマと討論内容

高い生体適合性と保水性を持つハイドロゲルと、特異な光学・電気特性を有する金属微細構造を組み合わせることで新しい生体用デバイスが実現できると期待されている。従来の構造作製手法は、ハイドロゲルの表面への金属微細構造作製を主眼としたものであり、高機能なデバイスの開発に向けてハイドロゲル内部への構造作製が希求される。そこで我々は、フェムト秒レーザーパルス集光照射によりハイドロゲル内部に金属グレーティング構造を作製し、その光学特性評価を行った。今回私は、本研究により得られた成果を超短パルスレーザーを用いた生体医工学応用に関するセッションにおいて口頭発表した。
 

周期間隔10 μmの銀グレーティング構造を内部に作製したハイドロゲルの上部へCWレーザー光を照射し、下部のスクリーンより回折パターンを観測した。さらに、水分含有量の変化に伴い寸法を伸縮させるハイドロゲルの性質を活用し、ハイドロゲル内部の銀グレーティング構造の寸法を収縮させると、グレーティング構造の周期間隔の縮小に伴い回折パターンのスポット間隔は増大した。本結果から、フェムト秒レーザーを用いて可変光学特性を有する伸縮性銀グレーティング構造を作製したことを示した。以上の成果は、ハイドロゲルを母材としたバイオセンサ等の新たな生体用デバイスへの展開が期待できることを示している。

質疑応答では、作製構造の構成について質問を受け、元素分析により構造が銀であることを確認済である旨を述べたほか、現在検証中である構造の導電性に関する質問も受けた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本会議は昨年に引き続き2度目の参加であったため、環境には比較的早く慣れ、学会期間中は自ら海外研究者に積極的に声をかけ議論を行う日々を過ごすことができた。昨年と比較して、自身の研究に関連した発表が多くなっていることを実感し、他研究者による発表の聴講は自身の今後の研究方針を決める上で有益なものとなった。さらに、自身の発表においては今後に生かすべき様々な課題と反省点を見つけることができ、総じて今回の学会参加は非常に有意義であった。

この度の海外渡航にあたり、多大な御支援をいただきました貴財団に厚く御礼申し上げます。今回の経験を糧とし、研究活動に一層精進してまいります。

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