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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
桑原 充輝
(大阪府立大学 大学院工学研究科 電子・数物系専攻)
会議名 SPIE NanoPhotonics Australasia 2017
期日 2017年12月10日〜13日
開催地 Swinburne Univ. of Technology, Melbourne, Australia
1.国際会議の概要

SPIE NanoPhotonics Australasia 2017は、フォトニクス、エネルギー、セキュリティ、情報、および医療を含む多くの分野で有望な新しいナノフォトニック技術とアプリケーションを可能にした研究に焦点を当てた多分野のフォーラムです。
光とフォトニクスの国際学会であるSPIEは、1955年に光ベースの技術を発展させるために設立されました。
今回はアジア、オセアニアを中心とした光、フォトニクス研究者が集まり、メルボルンのスウィンバーン大学で4日間にわたり、熱い議論が交わされました。

≪学会会場の様子≫ ≪スウィンバーン大学≫
2.研究テーマと討論内容
≪口頭発表の様子≫

本会議において私は、“Fabrication of multi-thickness SOI substrate toward an integrated photonic chip in wide telecommunication bands”という題目で15分の口頭発表を行いました。シリコンは室温で1.2 µmより長波長で透明なため、近年、シリコンフォトニクスデバイスが新たな光通信デバイスとして注目されています。シリコンフォトニクスデバイスはSOI基板と呼ばれる基板のトップシリコン層に、ナノファブリケーション技術を用いて作製されますが、デバイスの動作波長を変えるためには、ナノメータ精度の単純なスケーリング則で構造パラメータを変更することが理想的です。水平方向の構造制御は従来技術で十分に制御可能ですが、垂直方向はSOI基板のトップシリコン層の厚さに依存していました。トップシリコン層の厚さを局所的に制御することができれば、幅広い光通信帯域で動作する集積シリコンフォトニックチップが実現します。

そこで本発表では、厚さの異なるSOI基板の作製について報告しました。アルカリ溶液を用いた、シリコンのウェットエッチングと、光干渉膜厚測定を組み合わせることにより、トップシリコン層のエッチングをサブナノメートル精度で観測し、制御することに成功しました。さらに、インクジェットプリンターを用いて数十µmの精度のマスクパターンを形成し、エッチング後にマスクを除去するというプロセスを繰り返すことにより、Siの厚さが215nm、200nm、180nmの3層の膜厚をもつSOI基板を作製することに成功しました。この技術によって、我々は、あらゆる光通信波長帯において、この基板上に様々な波長で動作するシリコンフォトニクスデバイスを統合的に製造することを可能にしました。この技術は、将来のシリコンフォトニクスの波長多重化や動作波長域拡大にむけて非常に有用であると考えられます。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回私は初めての国際会議で、英語での口頭発表も初めてだったので、かなりの準備をして発表を行いました。おかげで口頭発表では、発表内容を十分に伝えることができたと思います。発表後に座長から、“いい発表だった”とほめていただきました。セッションの時間が押していたため、質疑応答こそなかったものの、発表後に、現地の大学の方からぜひコラボレーションしたいと名刺までいただき、自分の研究内容が世界に通用すると感じ、大変誇りに感じました。

≪真夏のクリスマス≫

課題に感じた点としては、他のセッションの質疑応答を聞いていて、ネイティブ同士の会話となるとどうしても聴き取れなくなってしまい、内容が理解できないことが多くありました。リスニング力と語彙力の向上の必要性を改めて感じました。

今回の出張では、南半球の真夏のクリスマスという豪州文化を体験することができ、非常にいい経験となりました。

最後に、本会議の参加に際し、貴財団から多大な援助を賜り、心より御礼申し上げます。

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