国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成29年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
阿久津 彗
(長岡技術科学大学 大学院工学研究科 情報・制御工学専攻)
会議名
2017 American Control Conference (ACC 2017)
期日
2017年5月24日~26日
開催地
Sheraton Seattle Hotel, Seattle, WA, USA

1. 国際会議の概要

ダウンタウンから見えるスペースニードル

2017 American Control Conference は、2017年5月24日から5月26日までの3日間、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルのシェラトン・シアトルホテルにて開催されました。

また会議開催前の 5月22日および5月23日の2日間には8つの Workshops も開催されました。本会議はAmerican Automatic Control Council の主催で行われ、制御工学分野の会議の中でも権威ある国際会議の一つであり、理論的成果から応用・実用的成果にいたるまで幅広くセッションが設けられています。本年の論文投稿数は 1,475 件、そのうち 40 % はアメリカ国外から投稿されており、世界的に注目度が高いことがうかがえます。なお本年の採択率は 66 % でした。開催期間中は19ものセッションが並行して行われました。このほかにも3日間で1件の Plenary Lecture、4件のSemi-Plenary Lecture、11件の Special Sessions、7件のTutorial Sessionsが開かれました。来年は、ウィスコンシン州ミルウォーキーにて 6月27日~ 29日の日程で開催予定です。

2. 研究テーマと討論内容

本会議にて、「Decentralized Active and Reactive Power Control for PV Generation Plants using Real-time Pricing Strategy」という題目で口頭発表を行いました。太陽光発電所と電力系統の接続点(連系点)において、逆潮流や発電変動に起因した電圧変動が発生します。また、太陽光発電所は複数の Power Conditioning System (PCS) により構成されるため、発電所の拡張 (PCS台数の増加) やPCSの接続・離脱などの運転特性により、中央集中型の制御方策では対応できなくなるおそれがあります。そこで本研究では、電圧変動の抑制を目的に複数の PCSにより構成される太陽光発電所を対象とし、分散最適化問題と実時間価格提示方策を利用した分散制御方策を検討しました。また分散制御方策の有効性を数値シミュレーションのみならず、実機のPCSを使用した実験からも確認をしています。本発表では特に、出力可能な電力容量などの機器特性や運転特性を考慮した検証を行い、その結果について報告しました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

制御分野において大きな国際会議の一つである American Control Conference にて、研究成果報告を行えたことはとても有意義でした。また、自身の研究課題と同様な問題に対して提案されている、異なるアプローチの制御方策を学ぶ良い機会にもなりました。さらに、ワークショップやバンケットなどで計算機科学やバイオメディカルの研究者とも交流することができ、他分野に対する興味も広がりました。それと同時に、自身の未熟さや知識不足も痛感しました。今回の経験を自己研鑽や今後の研究活動に活かしていきたいと思います。

最後に今回の国際会議参加へ助成くださった貴財団に心より御礼を申し上げます。

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