国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成27年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
中川 慶彦
(名古屋大学 工学研究科 マテリアル理工学専攻)
会議名
International Conference on Materials for Advanced Technologies of the Materials Research Society
期日
2015年6月28日~7月3日
開催地
シンガポール Suntec Singapore Convention & Exhibition Centre

1. 国際会議の概要

会場の様子

International Conference on Materials for Advanced Technologies (ICMAT) は2年毎に開かれる材料系の国際会議であり、今年で8回目を迎える本会議は6月28日~7月3日の6日間、シンガポールのSuntec Singapore Convention & Exhibition Centreにて開催された。Plenary lectures: 8件、Theme lectures: 4件が行われ、発表を行った参加機関は約2,000であった。発表は33の分野に分類されており、最新の研究成果が発表、議論された。申請者は ‘Earth Abundant Materials for Solar Energy Harvesting’ という豊富な材料を用いた太陽電池のセッションにて発表を行い、他の関連研究発表を聴講した。

2. 研究テーマと討論内容

発表の様子

‘On the mechanism of BaSi2 thin film formation on Si substrate by vacuum evaporation’ という演題でポスター発表を行った。内容は、新材料であるBaSi2の真空蒸着法を利用した膜の成長と作製のそのメカニズムについてである。この新材料BaSi2は太陽電池の吸収層として適当なバンドギャップ、高い光吸収係数を有することから新型薄膜太陽電池材料として有望である。さらに地殻中に豊富に存在する元素で構成されているため大規模展開が可能である。この材料を実際に産業応用するためには簡便な手法が必要であり、我々のグループでは真空蒸着法に着目して研究を行っている。真空蒸着法は非常に簡便かつ安全な手法であるが、原料をBaSi2とした際に作製される膜の組成は勾配をもったものとなる。これは、加熱した際のBaSi2の分解反応とタングステンボートとの反応により気相の初期のBa組成が高くなるために起こる現象である。この不均一な組成を解決するためには不均一を解消するために拡散現象が必要である。本研究では、拡散現象に関係する因子として基板温度・膜厚・加熱時間の3つを変更し、これらの影響を観察した。結果として、これら3つの要因を適切に設定することで不均一な組成を解消できることが示され、ストイキオメトリーな膜の作製条件の指標を明らかにした。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本会議で太陽電池のセッションに参加し、最新の研究の動向を知ることができた。初めての海外の国際会議であったため英語での説明や議論はとても有意義な体験であった。ポスター発表時には多くの方々から様々な質問と意見をいただいた。BaSi2は新材料であるため、基礎的な物性に関する質問を多く受けた。また、英語で議論する難しさを体感しながらも、自分のこれまでやってきた研究を発表する面白さを感じることができ、交流した研究者との議論から新たな研究アイディアを得ることができた。Lunch breakでは太陽電池に限らず他分野の研究者と交流する機会があり、大変良い経験となった。

最後に、今回の国際会議参加にあたり、貴財団より多大なご支援を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

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