国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成26年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
山田 泰弘
(千葉大学 大学院工学研究科 共生応用化学専攻)
会議名
The Annual World Conference on Carbon (Carbon 2014)
期日
2014年6月29日~7月5日
開催地
International Convention Center Jeju, Jeju, Korea

1. 国際会議の概要

ICC Jeju の入り口

会場の ICC Jeju

The Annual World Conference on Carbonは、グラフェンやカーボンナノチューブなどのナノカーボン材料から、活性炭などの古くから使用されている炭素材料に関連した権威のある会議である。毎年世界各地を巡回して約1週間開催され、基礎研究から応用研究まで様々な分野の研究者が発表を行っている。会場は大韓民国のチェジュ島のInternational Convention Center (ICC) Jejuという広い会議場で6会場に分かれ口頭発表が行われた。今回は、800名程度が参加し、Keynote LectureやInvited Lectureに加え、一般の口頭発表やポスター発表が行われた。ポスター発表は火曜と木曜日の2回に分けて開催された。上記の発表の多くは電極や吸着剤としての炭素材料の利用についてで、年々計算についての発表が少しずつ増加しているように感じられる。

2. 研究テーマと討論内容

本会議で申請者は、「Nitrogen-containing graphene analyzed by X-ray photoelectron spectroscopy」というタイトルで、6月30日に口頭発表を行った。現在注目を集めている含窒素グラフェンの構造を明確にするため計算化学を取り入れてX線光電子分光分析(XPS)のピークシフト解析を行った。例えばグラフェンの端(エッジ)と表面(ベーサル面)に官能基を導入した種々の構造を用意し、この解析を詳細に行うことに成功した。XPSは、グラフェン研究に頻繁に利用されている官能基の測定方法であり、この解析が今後のグラフェン研究の鍵となることは間違いない。

また7月1日には、「Structurally-controlled carbon materials with nitrogen and pentagon」というタイトルでポスター発表を行った。これまでに炭素材料には複数種の官能基が混在しており、性質が一様ではなかった。これに対して本研究では、計算化学とXPS、元素分析を組み合わせ、原料の分子構造を保ったまま脱水素のみを起こして炭素材料を合成するというこれまでにおそらく報告されてない方法を示した。

山田(口頭発表会場入り口にて)

ポスター会場での発表前の様子

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

申請者は本会議における口頭発表で含窒素グラフェンの解析方法を明確に示すことができた。発表後の質問で、XPSのみで構造は判別可能かという質問をいただいた。実際に計算化学とXPSを組み合わせても、判別困難な結合状態の官能基も存在するため、NMRなども併用し計算を行うことで構造を特定する必要があると回答した。今回は、座長も担当することになり、座長が集まる会食にも参加し著名な研究者と話す機会が得られた。ポスター発表では、数多くの研究者が質問に訪れ時間終了後も質問が続いた。この効果もあってか、特に今回は数多くの研究者や企業の方とお話しする機会があり、共同研究の話も複数社からいただいた。さらに今後招待講演の機会を与えていただけるとのお話もあり、これまでで一番充実した会議となった。

最後に、本会議参加への機会を与えていただいた貴財団に心より感謝申し上げます。

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