国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成26年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
松島 宏一
(九州大学)
会議名
2014 Materials Research Society Fall Meeting and Exhibit
期日
2014年11月30日~12月5日
開催地
アメリカ合衆国、ボストン

1. 国際会議の概要

1973年、材料に関する広くて新しい学際間の組織が必要だという信念で設立された材料学会(Materials Research Society, MRS)は現在80カ国・16,000人以上の産学官の研究者が所属し飛躍的に成長している世界最大規模の学会である。

1997年以来、毎年4月にサンフランシスコで開催される材料学会春季会議(MRS Spring Meeting & Exhibit)と12月にボストンで開催される材料学会秋季会議(MRS Fall Meeting & Exhibit)では、世界の一流の研究者が優れた最新の研究成果を報告・議論している。

材料学会秋季会議は毎年ボストンのHynes Convention Centerで開催されている。幅広い材料に関する研究を網羅する国際会議であり、2014年材料学会秋季会議においては53ものシンポジウムが開催され、6,000件以上の講演が行われた。

2. 研究テーマと討論内容

我々は新規酸窒化物半導体(ZnInON)を用いた超高効率太陽電池の研究を行っている。これまでにこの材料の結晶構造や光学特性を明らかにし、可視光全域にわたる広いバンドギャップを有することを確認している。本講演では、この材料を用いた量子井戸型太陽電池の特性に関する報告を行った。今回報告した太陽電池は量子井戸層に圧縮歪が発生しているものと発生していないものの2種類である。この太陽電池に太陽光と本来は吸収できない波長のレーザー光を重畳照射したところ、圧縮歪が発生していない場合は太陽光のみを照射した際との変化は見られなかった。一方、圧縮歪が発生している場合は太陽光のみ照射した際より、レーザー光を重畳照射することで効率が1.5倍に向上した。講演の際には、この現象に関する質問を多くいただいた。これは圧縮歪により、強い内部電界が発生するためと考えられる。今回はこの現象に重きを置いたため、発電効率が低いという課題があったが、さらに発電効率を向上させるための様々な助言をいただいた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

材料学会秋季会議は材料に関する世界最大規模の国際会議であり、世界トップレベルの研究者が多数参加し、議論を交わす。そのような会議において発表し、多数の研究者と議論するといった大変貴重な経験を積むことができた。また、酸化物・窒化物に関する研究において特に有名な研究者からご意見をいただき、今後の研究を進めるうえで非常に有用なヒントを得られた。

このような大変貴重な機会を提供していただきました一般財団法人丸文財団に心より感謝を申し上げると共に、貴財団の益々のご発展をお祈り申し上げます。

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